タンザニアコーヒーと聞くと、「キリマンジャロ」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
今回試したイガレは、タンザニア南部の産地で、近年は品質向上の取り組みが進み、スペシャルティコーヒーとして流通する機会も増えているようです。同じタンザニアでも、深煎りではどのような個性が現れるのか気になっていました。
そこで今回は、タンザニア イガレの深煎りをペーパードリップ・フレンチプレス・ネルドリップの3つの方法で飲み比べ、それぞれの違いや印象を確かめてみました。タンザニアの深煎りが気になっている方や、キリマンジャロとの違いが気になる方の参考になれば嬉しいです。
この記事でわかること
・タンザニア イガレ深煎りの味わいの特徴
・キリマンジャロのイメージとの違いを実際に飲んで感じたこと
・ペーパードリップ・フレンチプレス・ネルドリップで見えた個性の違い
飲む前に持っていたタンザニア コーヒーのイメージ
今回のイガレを飲む前、私が持っていたタンザニアのイメージは「バランスの良い飲みやすいコーヒー」でした。その印象のもとになっているのは、以前飲んだ中煎りのキリマンジャロです。苦味と甘味のバランスが良く、酸味も穏やかで、全体的にまとまりのある味わいだった記憶があります。
今回レビューするイガレは、タンザニア南部に位置する産地です。キリマンジャロとの位置関係は次の地図のようになります。

一般的にキリマンジャロの深煎りについて調べてみると、酸味が落ち着き、香ばしさやコク、チョコレートのような甘苦さが前に出やすいと言われています。
そのため今回のイガレも、深煎りらしいコクや香ばしさはありつつ、全体としては落ち着いた印象のコーヒーになるのではないかと予想しました。
なお、キリマンジャロの深煎りについては、今後別の記事で改めて飲み比べてみたいと思っています。今回はまず、タンザニア イガレの深煎りが実際にどんな味なのかを確かめてみることにしました。
同じアフリカ産でも、酸味や果実感を中心に異なる個性を見せた「ケニアAAの飲み比べ記事」も参考にしてみてください。
今回の検証条件
| 項目 | 内容 |
| 豆 | タンザニア イガレ |
| 焙煎度 | 深煎り |
| 精製方法 | ウォッシュド |
| 比較した抽出方法 | ペーパードリップ/フレンチプレス/ネルドリップ |
| 豆量・挽き目・湯量 | 各抽出に合わせて調整 |
今回の比較では、各抽出方法の特徴をできるだけ引き出せるよう、豆量や挽き目などは完全には統一していません。 それぞれの抽出方法で無理なく味が出る条件に調整しながら、「実際に飲んで美味しいか」という視点で比較しています。
今回使用した豆はこちら

今回使用したのは、イヌイットコーヒーロースターで購入した「タンザニア イガレ」です。
タンザニア南部のイガレ地区で生産されたウォッシュドのコーヒーで、今回は深煎りの豆を使用しました。
これまで私が飲んできたタンザニアコーヒーは中煎りのものが中心だったため、深煎りになるとどのような個性が現れるのか気になっていたコーヒー豆です。
実際に3つの抽出方法で飲み比べてみると、それぞれ異なる表情を見せてくれました。詳しい感想はこの後のレビューで紹介していきます。
タンザニア深煎りを3つの抽出方法で飲み比べ
ペーパードリップで飲むタンザニア イガレ深煎りの味わい
抽出条件: 豆 15g/湯量(投入量)225ml/中粗挽き/温度 86℃ /抽出時間 3分

ペーパードリップでは、深煎りらしい苦味やコクがすっきりと表れるのではないかと予想していました。
しかし実際に飲んでみると、一口目から少し予想とは違いました。まず乾いた草やハーブを思わせる風味がふっと現れ、その後にしっかりとしたコクが続きます。最後はクリーンな苦味が口の中に広がりますが、重たく残る感じはありません。
最初に感じた草やハーブのような風味は少し意外でしたが、飲み進めるうちに印象が変わっていきました。苦味は少し落ち着き、微かな酸味と甘味が加わることで全体のバランスが整ってきます。飲み込んだ後には、ほのかに蜜のような風味が鼻を抜けていきました。
後味には黒糖のような甘い余韻があり、温度が下がるにつれてビターチョコレートのような風味へ変化していきます。それでも舌に残る黒糖のような甘さは最後まで続いていました。
さらに冷めてくると酸味がやや顔を出し、後半にはほのかなスパイス感も感じられました。振り返ると、最初に感じた草やハーブのような風味は、このスパイス感へ繋がる片鱗だったのかもしれません。
飲む前は落ち着いたバランス型のタンザニアを想像していましたが、実際にはクリーンな苦味を軸にしながら、草やハーブ、蜜、スパイスと少しずつ表情を変えていくコーヒーでした。特に飲み込んだ後の蜜のような抜け感と、冷めてから現れるスパイス感が印象に残りました。
今回のように、一杯の中で風味の変化をじっくり楽しみたい方には、今回使用したHARIO V60もおすすめです。
フレンチプレスで飲むタンザニア イガレ深煎りの味わい
抽出条件: 豆 15g/湯量(投入量)225ml/粗挽き/温度 86℃ /抽出時間 4分30秒

フレンチプレスはコーヒーオイルや微粉も抽出されるため、ペーパードリップよりも甘味やコクが強くなり、ペーパーで感じたスパイス感もより前に出るのではないかと予想していました。
実際に飲んでみると、最初に感じたのはペーパーとは違う香ばしさでした。ペーパーで印象的だった乾いた草やハーブのような風味はなく、焙煎由来の豆の香ばしい香りがふわっと鼻を抜け、その後にしっかりとしたコクが口の中へ広がります。後からほのかな苦味を感じましたが、ペーパーほど前には出ませんでした。
質感は全体を通してペーパードリップよりもやや厚みがあり、この厚みが甘味やコクをより引き立てているように感じました。飲み進めると酸味と甘味が加わり、味のバランスが少しずつ変化していきました。ペーパーでも蜜のような風味は感じられましたが、あちらが飲み込んだ後にふっと鼻を抜ける印象だったのに対し、フレンチプレスでは酸味と甘味が重なった瞬間に口の中へ広がる印象でした。その風味はスッと消えた後、甘い余韻へ繋がっていきました。
後味にはほろ苦さもあり、ビターチョコレートを思わせる風味も感じられました。ただ、ペーパードリップほど苦味が前に出ないためか、全体としてはビターチョコレートよりも黒糖のような甘さの方が印象に残りました。冷めてくると酸味が先に現れますが、すぐ後から甘味が広がり、黒糖のような甘さがよりはっきりと感じられました。ペーパーでは後半にスパイス感が現れましたが、フレンチプレスではそうした変化はほとんど見られませんでした。
ペーパーでは飲み込んだ後にふっと鼻を抜ける香りとして現れていた蜜感が、フレンチプレスでは味わいの中に溶け込むように広がり、より落ち着いた印象でした。黒糖のような余韻もより印象的で、全体としては香ばしさと甘味をじっくり楽しめる一杯だったように思います。
今回のような甘味やコクを楽しみたい方には、今回使用したBODUM KENYAのフレンチプレスも相性が良いと感じました。
ネルドリップで飲むタンザニア深煎りの味わい
抽出条件: 豆 15g/湯量(抽出量)200ml/中挽き/温度 86℃/抽出時間 3分40秒

ここまでのペーパードリップとフレンチプレスでは、黒糖やチョコレートを思わせる甘味が印象的だったため、ネルドリップでも丸みのあるマイルドな苦味とチョコレートのような甘味をイメージしていました。しかし実際に飲んでみると、その予想は良い意味で裏切られました。
一口目から重みのあるしっかりとした苦味が感じられ、その後から程よいコクが広がりました。後味には香ばしい香りが鼻を抜け、ビターチョコレートを思わせるほろ苦さが続きました。ただ、ペーパーやフレンチプレスで感じたような甘味の印象は控えめで、全体としては苦味が味わいの中心にあるように感じられました。
飲み進めると、苦味の中からパンチの効いたスパイス感が現れました。ペーパードリップでも後半にスパイス感は感じられましたが、こちらはより存在感があり、輪郭のはっきりした印象でした。後味にもスパイシーな辛味を思わせる風味が残り、その影響もあって甘味は飲み始めより控えめに感じられました。
冷めてくると酸味が現れ始め、苦味も少しずつ和らいでいきました。そのおかげで全体のバランスは整ってきましたが、スパイス感は最後まで存在感を失いませんでした。中盤ほどの力強さではないものの、余韻にはスパイシーな風味が残り、その奥にチョコレートを思わせる甘味もわずかに感じられました。
全体を通して3つの抽出方法の中では最も苦味が強く、スパイス感も印象的でした。ペーパードリップが味の変化を楽しむ一杯、フレンチプレスが甘味やコクを楽しむ一杯だったとすると、ネルドリップは深煎りらしい力強い苦味と個性的なスパイス感を楽しむ一杯だったように思います。落ち着いた印象のコーヒーを想像していましたが、実際には重厚な苦味と想定外のスパイス感が現れ、良い意味で予想を裏切られました。深煎りとの相性の良さを改めて感じさせてくれる抽出で、個人的には今回の3つの抽出方法の中で最も印象に残った一杯でした。
深煎りの苦味やコクが抽出方法によってどう変わるのか気になる方は、「マンデリンは苦いだけじゃない?抽出で変わる味わいを比較」の記事も参考になります。
今回のように深煎りの力強い個性を楽しみたい方には、今回使用したHARIO ウッドネックも面白い抽出方法です。
比較まとめ:3つの抽出で見えた違い
今回3つの抽出で飲み比べてみると、同じタンザニア イガレでもかなり印象が変わりました。
| 抽出方法 | 苦味 | 甘味 | スパイス感 | 味の特徴 |
| ペーパードリップ | ★★★ | ★★☆ | ★★☆ | 風味の変化が大きい |
| フレンチプレス | ★★☆ | ★★★ | ★☆☆ | 黒糖のような甘味 |
| ネルドリップ | ★★★ | ★☆☆ | ★★★ | パンチのあるスパイス感 |
個人的には、タンザニアらしい落ち着いた印象や飲みやすさを求めるならフレンチプレスが入りやすいと感じました。香ばしさや黒糖のような甘味が分かりやすく、今回の3つの中では最もバランス良く楽しめた印象です。
一方で、今回のイガレらしい個性を最も強く感じたのはネルドリップでした。重厚な苦味の中から現れるスパイス感は予想していなかった味わいで、深煎りの面白さを改めて感じました。
ペーパードリップはその中間で、飲み進めるごとに表情が変化していくのが印象的でした。蜜のような風味や後半のスパイス感など、一杯の中で変化を楽しみたい方に合いそうです。
まとめ:飲み比べてわかったタンザニア イガレの個性
今回、タンザニア イガレの深煎りを3つの抽出方法で飲み比べてみました。
飲む前は、深煎りらしい香ばしさやコクを中心とした、落ち着いた味わいを想像していました。しかし実際に飲んでみると、深煎りらしいコクや苦味だけでなく、草やハーブを思わせる風味、蜜のような甘い余韻、さらにはスパイス感まで感じられ、予想していた以上に個性的な一杯でした。
特に印象的だったのは、「深煎りだから苦味が強い」というだけでは語れなかったことです。抽出方法が変わると、草やハーブのような風味、蜜のような甘さ、スパイス感など、前に出てくる個性も大きく変わりました。イガレという産地の特徴なのか、深煎りとの組み合わせによるものなのかは断定できません。それでも今回の一杯を通して、同じタンザニアでも産地や焙煎度によって表情が大きく変わることを実感しました。
タンザニアの深煎りが気になっている方や、普段とは少し違った深煎りの個性を楽しんでみたい方は、今回レビューした「タンザニア イガレ」から試してみてはいかがでしょうか。


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