コーヒー売り場やカフェのメニューを見ると、「ブラジル」の名前を見かけることがよくあります。
ブレンドに使われていることも多く、コーヒーを飲む機会があれば知らないうちに口にしている方も多いのではないでしょうか。
私自身もこれまでブラジルが使われたコーヒーを飲む機会はありましたが、ブラジルをシングルオリジンとして意識して飲むのは今回が初めてでした。
そのため、「ブラジルらしい味とは何だろう?」「なぜここまで定番として親しまれているのだろう?」という疑問もありました。
そこで今回は、ブラジルの中深煎りをペーパードリップ、フレンチプレス、ネルドリップの3つの抽出方法で飲み比べてみることにしました。
最初は抽出方法による違いに注目していたのですが、飲み比べを続けるうちに、思いがけない発見がありました。
もしかすると、その発見こそがブラジルが長く定番として親しまれている理由なのかもしれません。
今回は実際に飲み比べながら感じたことを、体験ベースでまとめていきます。
この記事で分かること
・3つの抽出方法による味の違い
・ブラジルらしい味の特徴
・ブラジルが定番と言われる理由
今回の検証条件
| 項目 | 内容 |
| 豆 | ブラジル サンタ クララ農園 |
| 焙煎度 | 中深煎り |
| 精製方法 | ナチュラル |
| 比較した抽出方法 | ペーパードリップ/フレンチプレス/ネルドリップ |
| 豆量・挽き目・湯量 | 各抽出に合わせて調整 |
今回検証では、各抽出方法の特性に合わせて豆量や挽き目を調整しています。
そのため条件は完全に統一していませんが、それぞれの抽出方法で無理のない範囲で味がしっかり出るようにしています。
今回使用した豆はこちらです。

購入時の商品説明では、ブラジルらしいナッツやチョコレート系の風味が特徴とされていました。
また、同じサンタクララ農園の豆を扱うロースターの紹介を見ると、ミルクチョコレートやカカオニブ、ほのかなスパイス感といった表現も見られます。
そのため今回は、香ばしさやコクを中心に、抽出方法によって甘味や風味の複雑さがどこまで変化するのかを楽しみにしながら飲み比べを始めました。
抽出方法別レビュー
ペーパードリップ
抽出条件: 豆 15g / 湯量(投入量)225ml / 中粗挽き / 温度 88℃ / 抽出時間 3分

実際に飲んだ感想
ブラジルというと、個人的には苦味やコクがありながらも、どこか飲みやすいイメージがあります。
抽出が終わってひと口飲んでみると、まず感じたのはしっかりした苦味でした。
口当たりはさらっとしていますが、後味には焦がしたアーモンドのような香ばしさが残りました。
もっと穏やかな味を想像していたので、最初は少し意外でした。
ただ、重たいというよりは全体的にシンプルで軽めの印象で、中深煎りらしいコクはあるのですが、飲み疲れするような重さはありません。気付けば次のひと口に手が伸びるような飲みやすさも感じました。
飲み進めていくと、アーモンドのような香ばしさがよりはっきりしてきました。一方で、中盤以降は少し複雑な風味も感じました。
はっきりと何かに例えられるほどではありませんが、焦がしたナッツのような香ばしさだけではなく、別の風味も重なっているような印象です。
こうした変化もあって、最後まで単調さは感じませんでした。
冷めてくると苦味は少し落ち着き、ビターチョコレートのようなほろ苦さと甘味が出てきました。
わずかに酸味も感じるようになり、後味は思ったよりさっぱりしていました。ナチュラル精選の影響なのか、ブラジルらしい香ばしさの中にもほんのり甘味があり、最後までバランス良く飲めました。
そのままでも十分飲みやすいですが、ミルクを加えるとさらに甘味が引き立ちそうにも感じました。
飲み終えて残った印象は、「派手さはないけれどバランスが良い」ということです。
ブラジルが定番と言われる理由はまだ分かりません。ただ、この時点で感じたのは、「強い個性で印象に残る」というよりも、気付けば飲み進めてしまうような飲みやすさでした。
今回使用したハリオ V60では、ナッツのような香ばしさやコクを感じながらも、重たくなりすぎないバランスの良い味わいになりました。
フレンチプレス
抽出条件: 豆 15g / 湯量(投入量)225ml / 粗挽き / 温度 88℃ / 抽出時間 4分30秒

実際に飲んだ感想
ペーパードリップを飲んだ後だったこともあり、フレンチプレスではもう少し甘味やコクが前に出るのではないかと予想していました。
実際に飲んでみると、まず感じたのは苦味の丸さです。
ペーパードリップより苦味は穏やかですが、甘味が主役というわけではなく、丸みのある苦味とコクを中心に、ブラジルらしいナッツのような香ばしさがゆっくり広がっていきました。
飲み進めるうちに、ペーパードリップでも感じた複雑な風味が少し強くなったようにも感じました。
はっきりと何かに例えられるわけではありませんが、香ばしさの奥に別の風味が重なっているような印象です。
フレンチプレスはコーヒーオイルや微粉もカップに入るため、その影響もあったのかもしれません。
冷めてくると苦味はさらに落ち着き、ミルクチョコレートのような風味が出てきました。
後味にはわずかに酸味も感じました。
強い酸味ではありませんが、飲み込んだ後にも味わいが続き、ブラジルとしては意外なジューシーさも感じられました。
飲み終えてみると、ペーパードリップよりも丸みがあり、味わいにも少し広がりを感じました。
ペーパードリップでも感じた複雑な風味は、こちらの方が少し強く現れていたように思います。
また、後味にはわずかなジューシーさもあり、ペーパードリップとはまた違った表情を見せてくれました。
それでも、ブラジルらしいナッツ感やコクはしっかり残っており、最初はペーパードリップとの違いに注目していましたが、味わいの表現は変わっても、根本にある香ばしさやコクは共通しているように感じました。
今回使用したフレンチプレスは、こうした丸みのある苦味やコク、余韻の変化を感じ取りやすく、ブラジルの違った一面を楽しむことができました。
ネルドリップ
抽出条件: 豆 15g / 湯量(抽出量)200ml / 中挽き / 温度 88℃ / 抽出時間 5分

実際に飲んだ感想
ネルドリップは油分も比較的抽出されやすいため、ペーパードリップやフレンチプレスとはまた違った味わいになるのではないかと予想していました。
実際に飲んでみると、まず感じたのはしっかりした苦味です。
ペーパードリップよりもやや苦味は強く感じますが、想像していたほど重たさはありません。口当たりも比較的軽く、後味にはアーモンドのような香ばしさが残りました。
飲み進めていくと苦味は少し落ち着き、香ばしさとコクのバランスが見えてきました。
酸味や甘味は控えめですが、その分ブラジルらしいナッツ感や香ばしさが分かりやすく感じられました。
冷めてからも印象は大きく変わらず、香ばしさとほろ苦さを中心とした味わいが続いていきました。
正直なところ、この時にはペーパードリップやフレンチプレスとの違いを探しながら飲んでいました。
ネルドリップならもっと重厚なコクが出ると思っていたのですが、確かに違いはあるものの、想像していたほど大きくはありません。
むしろ印象に残ったのは、どの抽出方法でも共通して感じるナッツのような香ばしさやコクでした。
ここで初めて、「抽出方法による違い」よりも「ブラジルそのものの特徴」の方が強く出ているのかもしれないと思いました。
多少の味の変化はあっても、大きく印象が崩れない。
もしかすると、この安定感こそがブラジルが定番として親しまれ、ブレンドのベースとして使われる理由のひとつなのかもしれません。
比較まとめ:3つの抽出方法で飲み比べて見えた「ブラジルらしさ」
3つの淹れ方を飲み比べてみると、それぞれ味わいの表現には違いがありました。
ペーパードリップでは香ばしいアーモンド感がはっきりと前に出て、フレンチプレスでは苦味に丸みが出て後味にジューシーさも感じました。ネルドリップはペーパードリップよりもやや苦味が強めでしたが、想像していたほど重たくはなく、香ばしさとコクのバランスは共通していました。
ところが飲み比べを続けるうちに、違いよりも共通点の方が気になるようになりました。
どの抽出方法でも感じたのは、ナッツのような香ばしさ、苦味とコクのバランス、そして飲み疲れしにくい飲みやすさです。
特に印象的だったのはネルドリップでした。もっと大きく味が変わると思っていたのに、違いを探せば探すほど、ブラジルらしい香ばしさやコクといった共通点の方が目に付く。抽出方法によって見せる表情は変わっても、その奥にある味わいの軸は大きく動いていませんでした。
最初は「3つの抽出でどう違うか」を確かめるつもりで飲み始めたのですが、気づけば「どの淹れ方でもブラジルらしさが残る」という事実の方が、ずっと印象に残っていました。
結論:ブラジルコーヒーが定番と言われる理由を考えてみた
今回の飲み比べを通じて感じたのは、ブラジルのコーヒーは強烈な個性で印象を残すタイプではないということです。
例えばエチオピアのような華やかな香りや、ケニアのようなジューシーな酸味、マンデリンのような独特な個性を前面に押し出す豆ではありません。
その代わりに、どの抽出方法でも大きく印象が崩れず、安定して飲みやすい味わいを楽しむことができました。
今回の検証では、ペーパードリップ、フレンチプレス、ネルドリップと抽出方法を変えながら飲み比べました。
もちろん味の表現に違いがありましたが、それでも飲み終えた後に残った印象は驚くほど似ていました。
途中までは抽出方法による違いに注目していましたが、最後には「どの淹れ方でもブラジルらしさがしっかり残る」ということの方が印象に残りました。
もしかすると、これがブラジルが長く定番として親しまれている理由のひとつなのかもしれません。
抽出方法が変わっても大きく崩れにくい。
だからこそ、自宅で気軽に楽しみやすく、ブレンドのベースとしても使いやすいのではないかと思いました。
コーヒーには強い個性で驚かせてくれる豆もありますが、一方でブラジルは、毎日飲んでも飽きにくく、気付けばまた手に取ってしまうような安心感があります。
今回の飲み比べを通じて、ブラジルが「定番」と呼ばれる理由を少し理解できた気がしました。
同じ南米産でも、軽やかな果実感や香ばしさが印象に残った「ペルー チャンチャマヨのレビュー」もあわせてご覧ください。


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